脳腫瘍でも吐血する?!
脳腫瘍とは、頭蓋骨の中に出来る腫瘍で、脳以外の他の部位で発生したガンが転移した『転移性脳腫瘍』と脳そのものから腫瘍が出来る『原発性脳腫瘍』があります。
原発性脳腫瘍の原因は未だ不明ですが、10万人に10〜15人ほどが毎年発症するようです。
そんな脳腫瘍は早朝に強い頭痛があることが特徴ですが、なんと脳腫瘍で吐血することも多いそうです。
なぜ脳腫瘍で吐血してしまうのでしょう? 脳腫瘍と吐血の因果関係について、詳しく見てみましょう。
<脳腫瘍で吐血するってホント?>
脳は固い頭蓋骨で保護されていますが、脳腫瘍を発症すると、頭蓋骨の内部で圧力が上がる『頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん)』になります。
この頭蓋内圧亢進になると、頭痛や吐き気、嘔吐、目がぼやけるなどの症状が出て、小児の場合は突然嘔吐し、大人の場合は『てんかん発作』を起こすようになるようです。
この嘔吐を繰り返すことで、胃液が逆流し続けてしまい、胃内壁を溶かし始め、潰瘍が出来やすくなります。
この潰瘍が付近の血管を破いてしまうことで出血し、吐血してしまうことになるのです。破れた血管が運悪く動脈の場合は、大量出血・大量吐血になり、命の危険も出てしまいます。
また、脳腫瘍になると、頭蓋内圧亢進から迷走神経が圧迫され、胃酸の分泌が活性化してしまうことがあるようです。
この迷走神経での圧迫により、胃酸の分泌が刺激されると、胃酸の量が過剰になり、胃酸のバランスが崩れて潰瘍が出来、吐血に至ってしまうようです。
この迷走神経の圧迫は、クッシング潰瘍とも呼ばれ、脳腫瘍など脳の手術を行った後にも多く発症することが知られています。
脳腫瘍で吐血した場合は、胃酸の分泌を抑制する薬の服用で軽減されますので、脳腫瘍で吐血が見られたら、すぐに医師に伝えるようにしましょう。
<吐血をもたらす脳腫瘍の検査方法とは?>
それでは、吐血をもたらす脳腫瘍かどうかは、どのようにして見分けるのでしょう?
まずは、脳神経外科でCTやMRI検査で、腫瘍の形や位置を診断します。転移性脳腫瘍が疑われる場合は、内視鏡を使った生検術や手術により切除した腫瘍を病理検査して判断します。
また、治療方針を決定する為に、ホルモン検査や視野検査、聴力検査、脳血管撮影、核医学検査、PET検査を行います。
成人に発症する脳腫瘍は、大脳の上半分に多く、小児は小脳の下半分や脳幹に多く発症する傾向があるようです。
また、脳腫瘍は脳の中に単体で出来ることが多いですが、転移性脳腫瘍や悪性リンパ腫が原因の脳腫瘍は、2つ以上出来ることがあるようです。
脳腫瘍が原因で吐血したのかどうかは、上記の検査で判明しますので、吐血が見られ、早朝に頭痛がある場合は脳腫瘍が疑われますので、すぐに医師の診断を受けるようにしましょう。