嘔吐の繰り返しで吐血する病気とは?
30歳から50歳くらいの男性に多く発症し、嘔吐を繰り返すことによって、吐血してしまう病気をご存じですか?
この病気はマロリー・ワイス症候群と言い、繰り返して嘔吐した時に下部食道に裂傷が生じ、出血を起こすことで吐血する病気です。
元々、マロリーとワイスという医師が、飲酒後に嘔吐を繰り返すうちに吐血した患者さんを調べたことから判明した病気ですが、飲酒に拘らず発症することが多いようです。
この嘔吐の繰り返しで吐血する、マロリー・ワイス症候群とは、どのような原因で発症し、どのような検査や治療を行うのでしょう?
<マロリー・ワイス症候群の原因とは?>
マロリー・ワイス症候群の原因は、嘔吐を繰り返すと腹圧が上がり、食道と胃のつなぎ目の粘膜が切れて出血することにより、吐血してしまうことで発症します。
嘔吐から来る吐血の原因に飲酒が関係する割合は、30〜50%程度ですが、その他の原因としては、食中毒、乗り物酔い、つわり、内視鏡検査による損傷、急激に強い力を入れる作業などによると言われています。
特に、マロリー・ワイス症候群になり易い方が、繰り返し嘔吐すると、食道噴門部が十分に緩まない為に強い腹圧が掛かり、粘膜が裂けて大量出血から大量吐血になることもあるようです。
粘膜の出血により嘔吐から吐血になる場合、その吐血量は平均して1000mlから2000mlの量と言われており、そのうち10〜50%は輸血が必要になるそうです。
主に30〜50代の男性に多く発症しますが、子供や妊婦さんが発症することもあるようです。
<マロリー・ワイス症候群の検査とは?>
まずは、吐血による貧血の状態を確認する為に、血液検査をすることが多いそうです。
その後、上部内視鏡検査(胃カメラ)を行い、出血している場所や腫瘍の深さ、大きさ、出血の形態を確認します。
嘔吐を繰り返すことでの吐血の元となる腫瘍は、胃にあることが多く、腫瘍の数は1つであり、大きさは1cmくらいのものが多いようです。
<マロリー・ワイス症候群の治療法とは?>
マロリー・ワイス症候群のほとんどは、自然に止血して治るケースが多く、出血が多量の場合は断食し、点滴をしながら様子を見ることが多いそうです。
しかし、出血が続いたり、内視鏡で確認した際に、潰瘍に凝固塊が付着していたり、露出血管がある場合は、再度嘔吐から吐血に至る可能性が高くなります。
その場合は、内視鏡下で腫瘍の露出している血管にクリップを掛けたり、血管を電気焼灼して止血します。
嘔吐による吐血の手術後は、粘膜の裂け目が治るまで、1週間ほどは入院することになります。
また、退院後も1週間は胃酸分泌を抑える薬や、胃の粘膜を保護する薬を服用し、様子を見ることが多いようです。